東日本最大のドヤ街山谷(日本堤)のど真ん中に咲く、孤高の酒場。
大林酒場であります。店内は写真撮影一切禁止の為、載せられないのは残念ではありますが、使い込まれた和竿の美学とも例えられる空間は写真で伝えるのには無理があるでしょう。
酒場に漂う空気は、関西が誇る酒場「明治屋」に近いのか。飴色の古木と窓から覗く草木の緑。間口から入った風が広い店内をぐるりと流れ庭に抜けてゆく。一見ぶっきらぼうに見える店主、客への気配りは時に「はっ」とさせる事がある。それに気付く客はこの店を愛し、店も客を愛するのであろう。
日本に興味のある外国人に「侘び寂び」とはなんなのか?と聞かれたならば。
口開けの三時過ぎ、打ち水の乾かぬ間に暖簾をくぐり、蝉しぐれをBGMにカウンターで小一時間ほど過ごしなさいと。一番お金をかけずに「
侘び寂び」を伝える事ができるでしょう。わざわざ実相院まで行って床みどりや床もみじを見せて侘び寂びを語るよりは簡単で確実な選択だと断言したりしなかったり。。