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今日は鳥の素揚げの話。 唐揚げではなくて、片栗粉も何も付けずに油で揚げる素揚げ。フランス流に言うとコンフィという事で良いのかな、、でもコンフィは低温油で煮る訳だから違うか、、まぁどうでもええです。そんな訳で実はこの鳥を素揚げするだけの料理、、かなり贅沢なのです。というのも何も付けないで揚げるから、揚げている間に鳥の脂がどんどん揚げ油に溶け出してしまう。なので揚げ油は何度も再利用する事が出来ず、本来は数羽揚げる毎に油を変えなくてはいけないのだ。しかも半身だとか一羽丸ごと揚げる場合もある素揚げ、小骨までさくさく食べられる様に揚げるには相当の時間を要する。その変わり、じっくり揚げる事によって程よく脂が抜けた鳥は油を使った料理ではあるが、思いのほかヘルシーなのである。 そんな鳥の素揚げの専門店、戦前戦後から東京には何軒もあったという。そして時代は流れ現在では立石の「鳥房」と自由が丘の「とよ田」と二大素揚げ店を残す他は殆ど無くなってしまった。 と、、、思っていたのだ、、所がもう一軒あった、、、しかも「とよ田」の主人が若かりし頃修行を重ねた店だと言う。それを知ったのが僕の友人、、と言っちゃって良いものかと悩むが、、色んな意味で尊敬の出来る方、、特に酒場関係では大大先輩で心から信頼している方。その酒場の大先輩が最近始めたブログの記事でその店の存在を知ったのです。店の名は「なか川(奈加川)」と言いまして、場所は蒲田である。ブログの写真に写る女将は70代のおばあちゃん。そして半紙を折った上に置かれた素揚げの写真を見て決めた、、、絶対行って食べたい、、そう思った。がしかし、、記事を読み進めると、とても残念な事が書いてあった。なんとこの7月で店を閉めてしまうのである。しかも店を閉めなくてはならなくなった原因は地上げである、、、ここも中野の羊仔と同じなのか、、いつの世も弱者は強者に食い潰されてしまうのである。 この事を知ったのが先週の木曜日の事である。時間が無い、、、でもきっと昔ながらの馴染み客で溢れている事だろう。その情報の元である酒場の先輩に行きたい旨を伝えると「口開けから一回転、もしくは二回転目を見計らってタイミングを見計らえば入れる可能性があるかも・・・」との返事が返ってきた。僕の考えもその意見と相違なかった事に少し安心した。意を決して翌日の金曜日、丁度一回転目が終わるという時間に暖簾を潜った、、、カウンターにはずらりと年配の常連客が並び、僕が「こんばんは」と言った瞬間、、カウンターに座っている人達全員が僕を見た。そして女将がじっと僕を見つめて、こう言った、、「もう7月に入ってからずっとこの調子なんですよ、、申し訳ありませんねぇ」。僕は軽く会釈を返し店を後にした。 これでいいのだ。これから通うことが出来ない新参者の僕には敷居が高すぎた、、、一瞬でもあの店内の雰囲気、、あの匂い、、そして女将の顔を拝めた事で、、、それでいいのだ。暖簾を永遠に降ろしてしまうまでまだ4日間あるけれど、、僕はきっぱり諦める事が出来たのだ。 でもね、、、困った事に口が鳥の素揚げなんですよ、、、、考えて見たら丁度上手い具合に翌日は国府台でのテナガ釣りであります。国府台から立石までは電車で一本なのです、、テナガ釣り終了と同時に迷わず向かいましたがな、、、鳥房へ♪ 鳥房に到着したのは既に6時前であります、、本来ならば長蛇の列を覚悟しなくてはなりません。でもこの日に限って列はありません、、すぐに座敷に座る事が出来ました。そうか!今日は隅田川の花火である、、普段は土曜しか来られない遠方の客も花火大会に誘われ幾分少ないのかも知れない。三年ほど足が遠のいていた鳥房であるが、結果として丁度良いタイミングで訪れる事になった。 まず鳥の素揚げが出来上がるまで、お新香をつまみながら、、、僕が素揚げの次に好きなこれ♪ “とりぽん”である。ポン酢に鷹の爪のピリっとした辛さが加わり淡泊な笹身にとても合う。どんどん箸が進んでしまいあっという間に無くなりました。 そして20分後、、、お待ちかねのから揚げ(素揚げ)が運ばれて来た。 熱々の素揚げを半紙を使ってばらして、キャベツを蒸らすように乗せるのです。食べ進む内に鳥の熱でしんなり火が通って鳥のエキスを吸ったキャベツがまた旨い。この日の鳥(時価)は、小さめの580円である。てか580円ので十分過ぎます、、、一度隣の人が650円というのを食べているのを見たが、たった70円の差であるにも関わらず一回り大きな鳥はでかかった。それにしても鳥を揚げて、塩を振っただけのこの料理、、なんでこんなにも美味しいのだろうか。 腹一杯で鳥房を後にして、もう一軒とミツワに行くも、、苦しくて何も食べられない(涙) 今まで莫大な数の呑兵衛達が、立石で飲みまくってやるぞと鼻息荒く訪れるも、、最初に鳥房で素揚げを食ってしまい、早々に戦意を喪失してしまった輩は少なくないやろね・・・(笑)
by gindama_pistol
| 2009-07-27 23:43
| 食い道楽(外)
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Comments(16)
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つばき。
at 2009-07-28 01:21
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うまそうっす。まだ立石の鳥房に行けてないのです。
こないだとよ田に行ったら、移転して小奇麗になってました。 前の方がよかったな。味も。
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立石のケンタッキーこと、鳥房。名店ですよね、でもおばちゃんが、ちょっと怖いですね。
鳥の素揚げも、シンプルなだけに、職人の技術が最終的な味を決めちゃいますよね。ああ、でも奈加川の素揚げ食べてみたいです。
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hammer_kong at 2009-07-28 08:32
立石や奥戸、、、この界隈には僕が日頃世話になっているメッキ屋さんやら何やらが何件もあります。
工場の職人さんも皆『鳥房』が大好きです。 僕の体の10%くらいは『鳥房』の素揚げで出来ているような気がします(笑)
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とんかつ
at 2009-07-28 09:18
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ううう~ん 奈加川ですか 知りませんせんでした。 先日久しぶりにとよ田に行きましたら、移転してました。席も広くなり、焼きおにぎりがメニューに加えられいました。奈加川の鳥は丸のままなんですね、旨そうです。以前この手の店が横浜にはないので、自分でやろうと真剣に計画したことがありました。まだ諦めていませんが・・・・その時はご指導をお願いします。
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なかちゃん
at 2009-07-28 09:34
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gindama_pistol at 2009-07-28 09:59
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gindama_pistol at 2009-07-28 10:04
*マグさん
あそこの大女将はホントは凄い優しいんですよね。でも首の骨や小骨までバリバリ食べられない人が行っちゃうと地獄です、、、昔友達が最後まで食べるまで叱られ続けてました(笑) 因みに僕は食べ終わった皿を下げるときに女将から出る言葉、、「キレイね…」を聞くのが快感であります(笑)
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gindama_pistol at 2009-07-28 10:10
*Kongさん
後の90パーセントの内ハゼとテナガエビで20パーセントはいってますね、、そして酒が50パーセントとして、、残る10パーセントが気になる所です(笑) 鳥房の素揚げは食べ終わって時に清々しくも感じる達成感がありますね。
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gindama_pistol at 2009-07-28 10:15
*とんかつさん
あ、ちゃんと読んでないですね(笑)なか川は結局入れず、写真は立石の鳥房のものですよん。そう言えば「とよ田」を教えてくれたのもとんかつさんですもんね!しかも20年近く前の話ですよね…。考えてみると「とよ田」の場合は半身の半身で確か600円以上しますから、鳥房の倍以上もするんですよね、、、って、鳥房もなか川も安すぎな訳ですが、、、
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gindama_pistol at 2009-07-28 10:18
*なかちゃんさん
誰もが最初戸惑いますよね(笑) でもあそこ、素直に聞くと鳥もバラしてくれるし優しいと思います。逆に知ったかぶりして自己流で食おうとすると叱られますね(笑)
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引退釣師
at 2009-07-28 11:07
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鳥の素揚げ、めっちゃうまそうっすね~(残念ながら行ったことありましぇん><;) 暖簾をくぐれただけで良しとする・・・さすが銀玉さん!確かに足を運ぶ事に意味があるという、そんな気にさせる名店のようですね。鳥房さんもそうなんでしょうが・・・、伝統のワザとか、お客さんとの間合いとか、やっぱヒトなんでしょうねぇ いいお店に共通してることって。お酒やお料理ももちろんですが・・・。
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gindama_pistol at 2009-07-28 12:05
*引退釣師さん
めっちゃ旨いっすよ〜〜〜♪ 鳥房の素揚げもそうですが、、、ただ単に揚げるだけの料理ですが、これが真似が出来ないんですよね。そして「とよ田」さんの方には砂肝の素揚げというのがありまして、これが絶品なのであります! 何処かで聞いた台詞ですが、店が客を育て、店もまた客に育てられると、、その通りだと思います。
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つり太郎
at 2009-08-06 01:13
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はじめまして。
ブログを徘徊していてこの記事にたどり着きました。 7月に国府台ですれ違ったのは銀玉さんのようですね。 立石には以前20年ほど住んでましたが、鳥房に初めて行ったのが2年ほど前です。 素揚げのうまさは勿論格別で長居をさせないテーブルの低さ、雰囲気もいいですね。 当然のことながら初めてということでお店の方に捌いて頂きました。 立石・堀切周辺のボウルのあるお店もいいですね!
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gindama_pistol at 2009-08-06 11:13
*つり太郎さん
はじめまして、コメントありがとうございます。 国府台ですれ違ったのですか??何処でだろう…(汗)もしや隣でテナガエビ釣りしていた方ですかね? 鳥房は僕も初めて行った時はおばちゃんに解体して貰いました(笑)あの鳥の熱と肉汁でしんなりしたキャベツも絶品ですよね。立石、四ツ木、曳舟、、、あの辺りは楽園であります(笑) どの店のボールも酎ハイも濃くて旨いです(笑)
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つり太郎
at 2009-08-06 23:50
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こんばんは。
私が里見公園から下流に向かって行く時に銀玉さんとお連れの人が里見公園の方に歩いて行かれました。 木の覆いかぶさったあたりです。 お酒はいいですよね。 ただいつも最後は酔っ払いになりますが・・・。
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gindama_pistol at 2009-08-07 09:58
*つり太郎さん
そうだったんですか。あの日は初めての国府台デビューでして、最初はどちらが上流でどちらが下流なのかもわからないような状態でした(笑)すれ違った時は湧水を求めてさまよってる時でした。 酒は酔いますよ…京成沿線辺りの酒場は特に…(笑)家が遠いので立石辺りで飲むときは程々を心がけています(笑)
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