あんなことやこんなこと。ゆるゆるポンコツ雑記帳です。ごく希にですが真面目な事を書いてみたりみなかったり、、どっちやねん。

by 銀玉
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ふたりのメリーさん

語り継ぐべき事

僕がまだ小学生の頃の話である。町の中心に三重会館という古い建物があり、入口を入った所にはバスの待合室があった。その光景を思い浮かべると、今でも薄暗い待合室の中でじっと座る不思議な老婆の姿を鮮明に思い出します。老婆は頭の先からつま先まで真っ赤な衣装に身を包んでいます。そして顔は真っ白に塗られ更に目の周りの黒いアイシャドウ、、初めて見た時は誰もがドキっとする存在である。真夏の暑い日も真冬の凍えるような日でさえ、夕暮れまでずっとベンチに佇んでいました。そんな老婆を街の皆は「メリーさん」と呼んでいたが、僕ら子供らは皆“レッドおばさん”悪ガキ共は“レッドばばぁ”なんて呼んでいたっけ、、。

いつの間にかそれが当たり前の日常になり「景色」となっていました。しかしながらメリーさんは謎に包まれた摩訶不思議な存在であったので、それは沢山の“うわさ”もあったと記憶しています。「交通事故で亡くなった自分の子供を待っている」「売春婦である」「好きだった人の帰りをずっと待っている」「綺麗ですねと話しかけたら100円くれる」「実は男」等々、信憑性があるものから、作り話のような話まで実に沢山の噂が飛び交っておりました。



そしていつの間にかメリーさんは「いなくなった・・・」


いなくなって20年以上が経ちましたが、僕を含めメリーさんを当時知っていた人達の心には、今も尚その存在の印象が強く残り続けている事だと思います。そしてメリーさんを思うと当時の風景がまるでデジャヴの様に重なりとても懐かしく、また不思議な感覚で胸が一杯になります。謎に包まれながらも何故か風景に溶け込んでいたメリーさん、、そしてあの時代。メリーさんはいつの間にか都市伝説の一つとなり「その時そこで生きていた」人達の中で、昭和という時代を象徴であり共通する思い出となっています。


そして時代が流れ、今から三年ほど前の事である。新宿を歩いていたときに突然目に飛び込んで来た映画のポスター。そこには貴族の様な白いドレスを着て真っ白の化粧をしたお婆さんが映っている。映画のタイトルは「ヨコハマメリー

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ドレスの色さえ違うけれど、僕の中で真っ赤なメリーさんが突然甦りました。

チラシに目を通すと、横浜にはかつてメリーという米兵相手の売春婦がいた。昔は「キラキラさん」「皇后様」とも呼ばれ、子供達からは「ホワイトオバケ」と呼ばれたりもした。人様からの施しを頑なに拒み、気高さとプライドを持ってメリーさんは街角に立ち続けていた。そして1995年に突如として街から消え去ってしまったという。

横浜にもメリーさんがいた事にも驚いたが、僕の想い出の中の真っ赤なメリーさんにとても似ている。全然別人なのだけど、僕の気持ちの中でずっと引っかかっている何かを確かめたくなり、電車を乗り継ぎ横浜は伊勢佐木町、メリーさんがいつも歩いていた街の中心にある小さな映画館に向かったのであります。

映画が始まるまでの時間、僕は伊勢佐木町から日ノ出町、黄金町の裏通り、野毛の酒場通りから馬車道、いつ無くなってしまうかかわからない風景を残したくてシャッターを切り続けました。

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そして僕は風景を目に焼き付けたまま映画館に辿り着きました。既に大勢の人が列を作って並んでおります。その列に加わると聞こえてくる声「昔、メリーちゃんとお茶飲んだ事あるわ」「雨でずぶ濡れになって歩いていたメリーさんに傘を貸したら次の日にケーキを持ってお礼に来た」、、そんな本物のエピソードを持った人達が大勢来ている。みんなメリーさんに会いに来てるんだ。そして僕も“別のメリーさん”に会いに来ている。


映画館に入ると外より静かだという事もありさっきにも増して観客の話声が聞こえる。みんなメリーさんの思い出話や昔の横浜の話をしている。普段の映画館では味わえないとても人の暖かさ詰まった空間である。そして映画が始まる前に映画館の館長さんが通路に立ち話し始める「いつもはこの映画館が満員になる事なんて無いんです、、というかいつもガラガラです。どうしてこんなにもお客さんが来てくれるのか正直分かりませんが、とても良い映画です。最後までお楽しみください。この映画館はメリーさんに救われました。」

映画が上映され、銀幕に走馬燈のように横浜の景色と真っ白なメリーさんが映し出される。そしてメリーさんを知る生き証人達が寄せるコメントの数々。映画館に集まった人達はその一言一言に反応する。みんなメリーさんと当時の自分に会いにきているのではなかろうか。

映画の撮影が始まってから七年という歳月が経ち、メリーさんを含め4名の方が亡くなった事実。語り継がなきゃいけない事をきちんと成し遂げてくれた監督を初め、関係者の方々皆にお礼を言いたい。この映画を観た事により僕はその“風景”に触れ、忘れてはならない“語り継ぐべき事”を思い起こさせてくれたのです。


映画のラストシーン。メリーさんが生まれ故郷に戻り、余生を過ごしている老人介護施設内にカメラが入ります。そしてカメラが写したその老女は、僕の想像を裏切りあまりにも美しく気高きオーラを放っていたのであります。

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こうして、横濱の白いメリーさんはドキュメンタリーとして記録されたのであるが、津市の赤いメリーさんは時代の流れと共に風化してしまうのであろうか。。。どちらにせよ、ヨコハマメリーは素晴らしい映画でありました。
by gindama_pistol | 2009-03-03 20:56 | 拙言 | Trackback | Comments(14)
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Commented by モヨコ at 2009-03-03 22:07 x
いい映画ですよねぇ・・・
中古でDVDを購入してしまいました。
いつも観るわけではないけれど、手元に置いておきたい映画です。
そして・・・メリーさん人形・・・やはり企画だおれ?!
いまだに連絡はきません(涙)
Commented by gindama_pistol at 2009-03-04 00:09
*モヨコさん
そうですよね。僕は持ってないですが、手元に置いておきたい映画の1つですね。そうそう!!メリーさん人形(笑)随分時間が経ちましたからねぇ、、企画倒れだったんでしょうね、、。
Commented by BAGGIO at 2009-03-04 00:20 x
レッドおばさんか~!!懐かしいな~!!
最近は化粧ハデハデで毛皮着て自転車に乗ったおばさんが乙部方面に出没しとるで~~ッ!\(◎o◎)/!
Commented by gindama_pistol at 2009-03-04 00:28
*バッジョ
やっぱり、良く覚えてるよな〜!
しかも、第二のレッドおばさんが現れ始めたのか・・・。あんたもそう呼ばれるようなおじさんになってください。期待しとんで〜♪
Commented by つばき。 at 2009-03-04 03:18 x
以前銀玉さんから聞いて、見ようかと思ったんですがなんか怖くて、、、
うちの方にも昔、人形を抱いてホッカムリをして耳まで唇を描いた伝説のオバサンがいました。あだ名忘れちゃった。
その人はすごい怖い印象があったのでそれを思い出しちゃいそうで、なんだか怖いんです。
伝説のオバサンてどこにでもいるんですかねぇ。
Commented by gindama_pistol at 2009-03-04 10:06
*つばきちゃん
なんじゃそれ・・・耳まで唇、、口裂け女やないですかい!それは恐すぎだよ。しかも人形!メリーさんはそんな恐くはないよ、、、

ていうか、こんな時間まで夜更かししてるから風邪引いたり二度寝したりするんだよ。
Commented by 引退釣師 at 2009-03-04 15:37 x
タイトルしか知りませんでした。米兵相手にご苦労をなさった点もあるでしょうが、それでもプライドを捨てない・・・改めて職業に貴賎は無く、必要としてくれるヒトがいるからこそ提供するのだ・・・みたいなコトまじめに考えちゃいますね^^;余談ですが・・・、女性の方がトシを取っても自己顕示欲が強いような気もします。毎日通勤で往復してるだけでも、”派手に着飾ったおばあさん”は そこそこ見掛けますが、”全身あるまあに~なGちゃん”は滅多に、いあ一度も見掛けません。。。横浜の写真なつかしいっす・・・といってもむかーし鶴見に数年いただけですが。ブログ仲間が鶴見線の紀行文を連載始めたみたいです^^;
Commented by つばき。 at 2009-03-04 16:25 x
だしょー怖いっしょー。昨日一生懸命思い出し作業をしたんだけど、
たしか猫のぬいぐるみだったかも。んでネコオババとかネコババアとか。
鉢合わせするとマジ怖かった思い出あり。
Commented by gindama_pistol at 2009-03-04 18:09
*引退釣師さん
そうですねぇー。僕が思うに最近のお年寄り(男性)は昔に比べてお洒落しなくなりましたよね。ブランド物を着ていたか分かりませんが、今に比べて随分ダンディ(死語)なお爺さんがいたと
思います。これからどうなっていくんでしょうかね?それに比べてお婆ちゃん(笑)、、でも巣鴨とか行くと流行りがあるのか同じような格好のお婆ちゃんが実に多いです(笑)

*つばきちゃん
人形かネコのぬいぐるみか忘れるぬぁんて、、ちみ、意外に物覚えが悪いんちゃいまっか?まだ若いくせに(笑)
Commented by ふみづき at 2009-03-05 18:08 x
私の大好きな山下和美さんの「不思議な少年の中」というマンガの中では
ヨコハマリリィとして描かれています。
各地に色んなメリーさんがいるのでしょうね。とても興味があります。
どなたか調べて本などにしてくれないでしょうかね。
Commented by gindama_pistol at 2009-03-05 20:20
*ふみづきさん
そうですよね。まだまだ研究の余地がありますよね。
山下和美って誰かなぁ?と思ったら「天才柳沢教授の生活」の作者じゃないですか、、あの漫画好きでした。
Commented by しなの at 2009-11-05 21:31 x
>ふみづきさん

メリーさんの話、この本に詳しく出てますよ。

「消えた横浜娼婦たち---港のマリーの時代を巡って」
檀原照和・著(データハウス・刊)
http://www.amazon.co.jp/dp/4781700160/
Commented by ふみづき at 2009-11-05 21:56 x
しなのさま

ご丁寧にありがとうございます。
未だにとても興味があるので手にとってみたいと思います。
ありがとうございましたーm(_ _)m
Commented by gindama_pistol at 2009-11-05 22:22
*しなのさん
こんな本が出ていたのですね、、知りませんでした。僕も非常に興味があるので購入考えてみようと思います。情報ありがとうございました^^
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